性能を優先させるのであれば、ある程度の大きさを覚悟して改造を行わねばなりません。
それではオモシロくないので、出来るだけ小型化できるように実験してきました。
そのまとめとして改造のポイントをまとめた全体のブロック図を書いてみました。
R820Tチュナー用HF帯受信改造ブロック図
左図に改造ポイントを、まとめ書きした全体のブロック図を示しておきます。
実際の実験において数々のデータを得ることができた事が何よりの収穫でした。
ダイレクト受信改造では直接ピン接続させるよりもコンデンサーを介して接続した方が良好な受信が出来ました。
それは、RTLチップの入力インピーダンスの高さが原因だと考えていますが考えるより、実験結果に則す、というスタンスを大事にしました。
R820Tチュナー内部のXtal発振バッファー出力を利用してHF帯コンバーター用のローカル信号とする事によって、新たにコンバーター用発信器を組み込む必要も無くなります。
その為、かなり小型に出来上がると思います。
実際にXtal信号を取り出す場合には、バッファー回路を設けてDBMの局発信号とします。
全ての改造箇所の回路を組んだとしてもかなりの小型化にはなっていると思います。
ただし、元ケースには組み込めませんでしたが・・・・。
多少の大きさ的差がありますが、タバコ箱よりも小型です。
しかし、おもしろ受信器ということを忘れないように。
IC-R75、IC-R8500や、PERSEUSのような高性能を期待してはダメです。
簡易超広帯域小型受信器という捉え方を忘れないように。
でも、簡単リスニングには、もってこい、なんですよね~っ。
ポケットにも容易に入ってしまう小型広帯域受信器。
内部Xtal信号活用のHF帯コンバーター JJY信号
実際に内部のXtal発信信号をHFコンバーターのDBMに局発として用いた動作の様子を左図に示します。
受信周波数設定項目の中にあるSHIFTの部分には、-28.8MHz(R820T内部Xtal発振周波数)を設定して、受信周波数表示にオフセット設定し、実際の受信周波数を表示出来るようにします。
いの一番にVLF帯受信の可能性を知る為にも40KHzのJJY信号を受信しました。
HFコンバーターの動作としては、まずまずだと思います。
ちなみに、アンテナだけのRF入力で、RF AMPは使用していません。
これほど明瞭なJJY信号が受信出来てしまいます。
アンプ無しの状態でこれだけ受信出来ればたいしたものです。
ウォーターフォール画面には、しっかりしたJJY信号の電信コードが写っています。
フェライト・コアの種類を今までの#43材から#73材に変更したことも幸いしているようです。
HF帯には、もってこいのコア材だと思います。
内部Xtal信号活用のHF帯コンバーター 7MHz
左図は7MHz帯を受信した様子です。
以前実験を行った時の様子とは違い、信号が浮き出た感じを受けました。
以前は、コア材に#43材を用いていたのですが、今回は、#73材を用いたことが良い方向へと影響したようです。
また、以前は、HFコンバーター用局発信号の周波数が100MHzだったことも影響しているのかも知れません。
でも、100MHz程度ならそんなに違わないですね。 経験上ですが。
やはりコア材の違いが大きいのだろうと感じます。
左図を見れば判りますが、弱い信号でもしっかりと選局出来るレベルで見えます。
以前には感じなかったのですが、弱信号CWでもウォーターフォール画面に、その電信信号が打電されて映し出されている様子が判ると思います。
一つだけ難点があるのは、受信周波数オフセットの数字が半端な為、受信周波数を設定する場合、Center周波数設定を行う場合に手元に計算機が必要になる事です。
これが非常に厄介でした。
USBチュナー内部の信号を活用して小型に組むか、後々の厄介を回避し、外部局発信号を新たに設けるか? が、選択出来る問題です。
とりあえず、小型化がどこまで可能か? を実験して来ましたが、実際的には100MHzなどのような後々のわずらわしさが無いHF帯コンバーター用局発信号とした方が懸命ですね。
または、SDRソフト側のバージョン・アップによって局発周波数Shift設定数値が受信周波数だけでは無く、Center受信周波数などにも反映されれば何の問題も無くなり、小型HF帯コンバーターの改造も可能になるのですが・・・・。
ちなみに、両受信画面を見れば判るように、R820Tの内部Xtal発振周波数の微調整をしてある為に、受信信号と、設定周波数のズレが無くなっている事が、小さな自慢です。
厳密に行うなら、外部発信器が最も有効な方法ですが、簡易受信器ですから、これで良し、としました。
それでも高性能ですょ。 これ。
色々と遊べますし。
本格的受信器ではないものの、それなりに高性能。
それがたのしいのです。
USBチュナーR820T Vs Preseus受信比較
多機種との比較も試したかった為にHDSDRソフトを立ち上げてPreseusとで比較してみました。
SDR#ではPreseusが起動出来ませんので同一ソフトでの比較、これが一番ですのでHDSDRにしました。
また、DT305チュナーは、R820Tチュナーに比べてかなり性能的に劣る為、今回は割愛しました。
HDSDR起動時の各種チュナードライバーの選択
HDSDRを起動すると左図の様なドライバー選択画面が出てきますので、USB接続しているチュナーの種類に合わせたDLLを選択して起動させます。
現在、3種類のチュナーに対応したドライバーを入れてあります。
HDSDRでR820T起動 40KHz JJY信号受信
HDSDRにも受信周波数オフセット機能があり、SDR#ソフト同様にコンバーター式受信周波数を直読して表示できる機能が備わっています。
そして、そのオフセット機能は、SDR#ソフトよりも多機能で、色々なシフトが行えます。
その様な各種設定をした後の受信風景が左図に示した画面です。
SDR#ソフト動作時と同様、RF AMP無しのアンテナ接続だけの受信状態です。
SDR#ソフトと比べると、多少ですがHDSDRソフトの方にノイズっぽい受信音が混じっていました。
それでも手のひらに載ってしまう小型USBチュナー改造HF帯コンバーターだけでこれだけ受信出来るのですから大したものです。
HDSDRでPreseus起動 40KHz JJY信号受信
HDSDRにてPreseusを起動させて同じ40KHzのJJY信号を受信させました。
USBチュナーの時よりも全体的なざわついたノイズが少ないのが印象に残りました。
この少しの差が、簡易型と、本格的受信機の差なんでしょうね。
受信した印象は、外来ノイズこそあれ、澄み切った受信音だということに尽きます。
Preseus専用ソフトにて40KHz JJY信号受信
動作ソフトの違いも有りますので今度はPreseus専用ソフトにて40KHz JJY信号を同じ環境で受信してみました。
やはりというか、流石というか、全体的に混じりっけの無い綺麗な受信をしていました。
アンテナ入力以外の不要な信号も少なく感じました。
この性能を手のひらサイズの1000円以下のチューナーに求める方が無理ですね。
HDSDR+USBチュナーR820T 7MHz受信
HDSDRソフトでUSBチュナーR820Tを起動し、7MHz帯のアマチュア・バンド帯を一括受信させてみました。
コンバーター式用の受信周波数オフセット機能により、Lo信号設定や、Tune受信周波数設定の数字には、受信したい周波数を単に設定すれば良く、大変便利です。
この機能がSDR#ソフトにも付いていれば大変使いやすくなるのですが・・・。
HDSDR+Preseus 7MHz受信
同一ソフトにて簡易型受信器と、Preseusとで聞き比べを再度周波数を違えて行いました。
全体的にざわつき感が少なく、受信信号が多少浮き上がって見えているのが判ると思います。
受信信号が浮き上がって聞こえるのは痛快ですね。
R820TチュナーでDRM受信 HDSDR使用
HDSDR+USBチュナーR820T DRM受信
この小さな広帯域受信器がどこまで可能かを調べてみました。
とにかくクリティカル受信で手をやくDRM受信をテストしてみました。
先ずは、HDSDRのRX出力信号をDRMソフトへ受け渡す為に仮想オーディオ接続設定を行います。
現在、3種類の出力に対応出来るソフトを入れてあります。
今回は、Virtual Cableを選択してみました。
HDSDR+R820T+内臓Xtal HFコンバータでDRM受信
R820Tチュナー内部のXtalを利用したHFコンバーターを用いて、9.87MHzの有名なDRM放送を受信してみました。
HDSDR単体ではDRM受信が不可能な為にDreamというソフトを用いて復調させます。
とりあえずは、受信の風景を。
HDSDR+R820T+Dream にてDRM受信成功
受信だけなら簡単なのですが、やはり、データのデコードを伴う受信には、だいぶてこずりました。
初め、30MHz LPFだけで受信していましたが、どうも旨くいかず、LPF+BPFの構成でフィルターを入れて見たところ、何とか受信出来るように成りました。
その時の様子を左図に示します。
先日、Xtal発振の微調整を行って以来、そのままの状態だったのですが、いまだに正確な発振をし続けているようです。
嬉しいかぎりです。
ただし、このR820TのDRM受信では、時々、プッツン、と、受信音が途切れるときが有りました。
もっとも、アンテナだけの微弱電波状態ですから無理もない話しですね。
いずれ、プリ・アンプを入れようと考えています。
USBチュナー内部の発振器出力を用いたHF帯受信コンバーターの簡易実験で判った事は、受信器としての動作にはまったく問題なく改造出来る事が判りました。
しかし、そのコンバーター用局発周波数の受信オフセット設定に於いてSDRソフト側での機能制限があり、使いづらさを感じるSDRソフトも有る、という事が判りました。
後々の事を考えれば、やはり、コンバーター用局発信号周波数は、キリの良い100MHzなどのような周波数を選んだ方が無難なようです。
実験は実験として、実際にHF帯コンバーターを製作する時には局発用周波数は100MHzにて行なおうと思います。
受信ソフト側にてそれらを解決出来れば悩むこともないので最高なのですが・・・。
現時点でその機能に対応出来ているのは、HDSDRソフトのみです。
< 最終ワンセグTVチュナーHF受信アダプター >
それでは、最終的に構想のまとめをしてみます。
このUSBチュナーの特徴を良く考慮しながら、そして、小型化を実現するような回路構成を考えてみました。
最終ワンセグTVチュナーHF受信アダプター
左図が最終的に考察してみたHFアダプターのブロック図です。
この図を観ただけで電子回路など頭に浮かんでくるほど超簡単回路です。
この回路の特徴は、何と言っても小型化だということです。
その為にも部品点数を極力省いた構成になっています。
先ず、アンテナ入力側にはアンテナ切り替えがありません。
切り替え回路同様に働くよう、RFデュープレクサー回路でRF信号の分岐を行っています。
その信号分岐回路で分岐されたHF帯低周波信号はDBMに入力され、局発信号の100MHzとで、その出力には0~30MHZ ⇒ 100MHZ~130MHZ となって出力されます。
また、HPFを通って分岐された、VHF帯~UHF帯の受信信号はそのまま出力されていますが、このHFコンバーター出力側にはダイオードを用いたバンド切り替えSWがありますのでUSBチュナーには信号が届きません。
この様にダイオードSWを用いてHFコンバーター信号と、VHF~UHF帯の切り替えを行いますので部品の小型化が可能です。
そしてまた、このコンバーターの利点は、USBチュナーへ接続した状態で全てのバンドの受信が可能なことも特徴の一つだと言えます。
部品箱に転がっているパーツを用いて簡単に製作出来てしまうことでしょう。
簡単に、それでいて高性能、それが嬉しいのです。
とにかく遊べるUSBチュナーですね。
ワンセグTVチュナー HF 受信アダプターの各種方法などを解説しておきました。
ワンセグTVチュナーHF受信アダプターのまとめ を参照してください。
また、色々な実験を通して最終的に決定したUSBワンセグチュナーHFコンバーター回路を、
最終版 R820 ワンセグチュナー SDR HFコンバーターの製作
に回路図とともに解説しましたので参照下さい。
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