小型フェライト・DBM&アイソレーショントランスの試作


小型USBチュナーなどの改造を行う上で必ず必要な重要パーツが、DBMです。
手軽に購入出来る世の中になってしまった為に、わざわざ面倒な作業などする必要性も薄れている昨今ですが、自作する楽しみを味わう為にも是非とも自作したいものの一つだと思います。
製作も容易で、まず失敗はないでしょう。

通常のDBMでは二つ別々なフェライトコアを用いてDBMのバランスを保ちますが、ここでは二つ穴の開いたフェライトコア一つだけでDBMを製作することにしました。
低周波重視の為に使用したフェライトの種類は、#73という高誘磁率タイプを用いてみました。


 #73タイプ・フェライトコア使用のワン・コアDBM

二穴開いている所にバランス良くDBMのコイルを4回巻き、双方のエナメル線をDBMとして働くように結線します。
肝心のミキシング・ダイオードには、手持ちに有った、NEC ND487C1-3Rというリング・ダイオードを用いました。
これは、DBMを製作するには丁度良い具合に内部ダイオードと、外部導体とが結線されている大変都合の良いリング・ダイオードです。
左図でも判るように、DBMの製作の為にピンが出ているかのような構造です。





ND487C1-3R  ピン配列図

自作する時にいつも重宝しているパーツの一つが左図に示したリング・ダイオード ND487C1-3Rです。

見事なまでにピン配列されており、DBMを自作する際に手間取りません。

また、周波数特性も大変良好で、かる~く1.2GHz帯へも対応出来てしまいます。

以前には、プラスチック・モールドではなく、グラス・モールドの製品も有ったのですが今では入手困難ですね。

非常に感度が高く、DBMとした場合、小さなLo信号でも変換損失が小さいようです。
このシリーズには、リング状に内部結線されたものもあり、位相検出などへの応用にも活用出来ました。
今は昔のデット品ですね。







自作した小型DBMの大きさ比較です。

実際に自作した様子を左図に示しましたが、その小型ぶりが判ると思います。

ここまでくると少々製作には手こずるかなぁ・・・。

DBMの製作は、大変面倒ですが、一番好きな自作品の一つです。

また、ここに使用した、リング・ダイオード、ND487C1-3Rも好みの一品だったりします。
何故なら、弱い局発信号でも十分な働きをしてくれるからです。
我が才能の無さを補って余りある大切なパーツでもあります。

ボールペンとの比較で、その実物の小ささが理解できるでしょうか?






自作小型DBM 50MHz+1MHz 実特性

左図は、50MHz Lo信号、1MHz RF信号とを入力したときのDBM出力信号スペクトルです。
思ったよりも好結果です。

また、DBM変換損失が少なくなっているような感じを受けました。
定量的感想ではなく、今までの数多く自作してきたDBMの感触からの感覚的差異です。

でも人によっても違ってきますね。
主観的な感想では、好結果でした。






比較の為の理想的DBMの特性

左図は、理想的な構成で組み合わされたDBMを用いた同一条件下でのスペクトル特性です。

この理想DBMも、実は自作したモノなのですが、数あるメーカー品のモノよりも特性的に優れています。
ちょっとした自慢ですが・・・・。
ただし、周波数特性は低いところだけなのですが、今回のテスト範囲は、十分フラットな特性域です。
各信号のバランスが上手く取れている為に、Lo信号などの信号漏れが大変少なくなっている事が判ると思います。
でも、その反面、変換損失が大きいですね。







ガルバニック・アイソレーション・トランスの試作品

DBMの実験のついでに、ガルバニック・アイソレーション・トランスのテスト実験も行ってみました。
使用したトランスは、DBM同様、#73の二穴トランスです。
このアイソレーション・トランスは、単純な構造で製作が可能です。
入力と、出力とのトランスを絶縁させるようにコイル巻きすれば出来上がります。
ちなみに、アース電位も絶縁しなければなりませんょ。

大写しに撮れてますが、実際は米粒大の大きさです。










ガルバニック・アイソレーション・トランスのf特性

どこをどう間違えたのか?
f特が伸びすぎてますね~っ。
コイルに使用したエナメル線の太さが原因かな?
何度特性を取り直しても同じでした。

良好すぎる原因などを調べないと駄目ですね。

楽~に100MHzを通過してしまっています。
低周波側は、毎度のJJY信号である40KHzも問題なく通過していました。

絶縁コイルの巻き数が少なかったのが原因かも????
#73材コアの優れた特性のおかげだと、今は思うようにしています。
でも、高い周波数には不向きなんですよね~っ、これが。

USB TV チュナーR820TなどのHFコンバーターを製作する上で最も重要なパーツの一つがこのように超小型に自作出来てしまいます。
諸特性も、まぁまぁでしょう。
このようにすれば、DBMでさえも自作可能なパーツになりますね。

次回のDBM製作時には、今回の大きさより小型になるような工夫をしてみたいと思っています。

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