Switching power supply noiseスイッチング電源のノイズ対策法



複数台になった受信機などの電源をひとまとめに出来ないかどうかを試みてみました。

複数台を同時に電源ONとすると、約4Aぐらいの電流容量が必要ということが電流計で計って判りましたので、その電流容量に合った電源としなければなりません。

ところが、手狭な棚の上には、もはや空きスペースなども限られ、大きな電源では物理的に無理だということで、今まで食わず嫌いであった、スイッチング電源に触手を伸ばしてみました。

いやはや、アナログ・トランス式電源 10A モノの重量たるや、10Kgは超えているのでは??? と、思えるほどに重たい、、、、。
かたや、スイッチング電源 4.5A モノで何と!!!!!  数百グラム!!!!!!
ポケットにも入ってしまうほど小型。

時代の潮流なのかな~っ、、、、、。

手持ちのスイッチング電源の電圧が15Vであったため、内部の改造をしました。
IC-R8600 及び IC-R8500 などの機器が、大体 13.8V であるためにそれに合わせて出力電圧を13.8Vになるような改造をしました。

初めの構想では、出力電圧を高くして、安定化回路でもって 13.8V を得ようと考えていましたが、どうしても回路的にシリーズに素子を投入しようとすれば、それらの熱処理問題が新たに浮上してきますので、あ~でもない、こ~でもない、などと迷走していました。
これはこれで、楽しい悩みなのですが、熱処理という厄介な副産物の処理を効率よくする為の物理的パーツの手持ちが無かった為に、断念しました。
SW スイッチング電源単体から希望する電圧を直接的に取り出して活用することにしました。

SWスイッチング電源の電圧変更・改造17.8V編

回路の改造はとても簡単に出来てしまいますが、極端な電圧変更は避けた方が良いでしょう。
元々の定格電圧が 15V であったものが、改造により 17.85V になりました。

この位の電圧であれば、出力側に安定化回路を付加したとしても十分お釣りがきますね。

SWスイッチング電源の電圧改造ポイント部分

改造の原理的には、オペアンプ側の差動入力側に接続されている、出力電圧検出部の分圧抵抗器の比率を変えてやれば電圧の改造が可能です。
ただし、極端な電圧変更には対応できるSW電源に限りがありますので注意です。

SWスイッチング電源の電圧変更・改造13.8V編

上記写真の改造は、電圧を 13.8V とした改造ポイントです。

用は、出力電圧分岐比率の変更と言う訳です。

この程度の出力電圧変更の改造では、オリジナルなSWスイッチング電源と同様に安心して使用可能ですね。

しかし、ここで大問題。

受信機の電源として使用しようとすれば、やはり、ノイズの問題が頭から離れません。
SWスイッチング電源とは、そもそも、パルス状の制御ですから、出力側からノイズが出てこないと考える方がおかしな話になりますね。

そこで、考えたあげくに夢に出てきた方法を夜な夜な実験してみました。
その中で最も効果が見込めそうなノイズ除去回路を出力側に挿入することにしました。

巷では、電源平滑回路には大容量コンデンサーが一番効果的だと信じて疑わないと思いますが、こと、SWスイッチング電源での大容量コンデンサーは、あまり効果が期待出来ない部類の方法なのです。

SWスイッチング電源 出力側のスパークノイズ


写真でも判るように、ノイズというよりも、もはや、雷電的突発パルスですね。
この鋭いパルス・ノイズを大容量のコンデンサーで消そうとしても、中々消えてくれません。
理由は、コンデンサーの蓄積飽和電荷量に起因するもので、鋭いパルスは、コンデンサーの表面を滑るように抜けて出力されてしまいます。
また、スイッチング電源の出力側へ大容量コンデンサを入れるということは、スイッチング電源の動作にも悪影響が出かねませんので極力、必要最小限のコンデンサで済ませたいところです。

SWスイッチング電源 無改造出力ノイズ・スペクトル

スペアナでもって、SWスイッチング電源の出力を見てみました。
これほどまでの広帯域パルス性ノイズ発生器ということが理解できるでしょう。


SWスイッチング電源 パルス性ノイズ除去フィルター回路

SW電源ですので、出力側には大容量コンデンサは極力避けています。
このSWスイッチング電源 パルス性ノイズ除去フィルター回路の要は、
フィルターのど真ん中にある、バルス周期リジェクション回路です。
ちょっとしたアイディアです。

電源なれど、スイッチング動作という高周波。
それならば、慣れ浸しんだ高周波フィルターの出番だ~っ、、、、と、言う訳です。
VRA方式とでもしましょうか???

パルス性ノイズ・リジェクトの様子

どうですか????
見事に制御パルス周期近辺をノッチ、リジェクトしているでしょう!!!!!!

SWスイッチング電源の種類によって、この周期は変わりますので一概ではありませんが、その周期に合わせたフィルター回路を計算すれば、同様な特性になります。

SWスイッチング電源 パルス性ノイズの様子

元々のSW電源オリジナル出力波形です。


SWスイッチング電源 パルス性ノイズ除去フィルター回路

手持ちに合ったトロイダルを利用したコイルにてパルス・フィルターを構築。
大きなコンデンサーなどを用いなくとも十分すぎるほどのフィルター効果がえられました。


パルス性ノイズ除去フィルター通過後 特性

見事にSWスイッチング電源特有の、鋭いパルス性ノイズが除去されている様子が見て判ると思います。


パルス性ノイズ除去フィルター通過後 特性1

出力側 小コンデンサを外した状態での波形スペクトルです。


パルス性ノイズ除去フィルター通過後 特性2

出力側 小コンデンサを外した状態での低周波領域のアップです。


パルス性ノイズ除去フィルター通過後 特性3

出力側 小コンデンサを付けた状態のスペクトルです。


パルス性ノイズ除去フィルター通過後 特性4

低周波利用域を拡大してみました。


パルス性ノイズ除去フィルター通過後 特性5

低周波利用域を拡大したスペクトルです。

どうでしょう ?????

電源の音も、フィルター無しだと、ザーッ、ゴニョゴニョ、、、などと込み合った音がしていましたが、このパルス性リジェクション・フィルターを付加することによって、その電源の音が落ち着いた雑音にまで減少させることが出来ました。

これで、思う存分、数ある受信機へと電源供給出来そうです。
これなども気分的な部分が、その殆どなのですが、やはり、ノイズは有るよりは無い方が気分が良いですね~っ。

ちなみに、IC-R8600 のオプションとして販売されているACアダプターなるものは、なんと!!!!!

SWスイッチング電源をモロに利用しています。
それも、15V  2A という、以前のノート・パソコン用ではなかろうか??? と見間違う様な形をしています。

実験的に、オリジナルなSWスイッチング電源をそのままIC-R8600へ接続し、受信音を確かめてみましたが、別段、ノイジーという感じは全くなく、普通のアナログ電源のような感じで動作していました。
驚くことに、IC-R8500 などもノイジーさを感じさせない動作をしているではありませんか!!!!!

これには、ちょっぴり 驚きました。

しかし、気分的にもノイズが乗っている事を知ってしまっている電源装置を、そうたやすくは受信機などへと接続させるには、どうも気が引けますね~っ。

と言う訳での、今回の製作に至ったわけです。

まっ、気分的にも、無改造電源よりは、少しは  マシ  だと自身に言い聞かせながら自己満足しています。
精神的にも 良いようです。

きっと 何かが違っているはず、、、、。 っと、思うようにしています。


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