ワンセグRX DVB-T+DAB+FM R820T高性能受信機

現時点において高性能なワンセグTVチュナーはR820Tを用いたモノではないでしょうか。
それをRTL SDR としてテストしたいと思います。
巷で話題の製品ではおもしろくないので、最安値で売られているモノを入手してその実験をしてみようという試みです。

このタイプの国内販売は、BCASとの兼合いで不都合なのかどうか知りませんが、国内で入手するのは難しいようです。
ディープなお店では別ですが。
左図は、中華店からの直送便で送られてきた品物です。

国内販売品のDS-DT305DVB-DAB+FMとを比較しましたが一回り大きい外形です。
しかし、DVB-T+DAB+FMの製品には、リモコンや小型アンテナなどの付属品が同梱されておりました。
中華で売られているモノの中で販売価格が最安値を意識的に選んで購入してみました。
なんと、国内販売品のDS-DT305の1300円よりも安くDVB-T+DAB+FMは、996円でした。
恐るべし、中華工業です。

同じ機能を持つワンセグTVチュナーでも型番が違えばPC側へのドライバーも違ってきます。

DVB-T+DAB+FM R820TをUSBに挿し、zadig.exeを起動して、新たにR820Tに合ったデバイス・ドライバーをインストールします。
簡単にドライバー変更が出来てしまいます。

その後、SDR#本体を起動させれば正常に動作しました。
動作中のSDR#で、現在、どのワンセグTVユニットで動作しているかを確認したものが左図です。






Zadig のドライバー変更設定法

Option を押し、List All Devicesにチェックする。
Device欄から Bulk-In,Interface(Interface0)....を選ぶ。
インストールを押してドライバーを設定させる。

以上でドライバーの変更は終了です。


HDSDRソフトのドライバー追加法

HDSDRソフトをDVB-T+DAB+FM R820T に対応させる為には、ExtIO_RTL.dll というダイナミック・ライブラリー・ドライバーが必要です。
ExtIO_RTL.dll をダウンロードし、HDSDRソフトがインストールしてあるフォルダーへコピーするだけで動作させることが出来るようになります。



インストールが済んだHDSDRソフトを立ち上げると左図のようにDLLドライバー選択画面が出てきますのでExtIO_RTL.dllを選択して起動させます。








ExtIO_RTL.dllを組み込んだHDSDRソフトでDVB-T+DAB+FM R820Tを動作させている様子が左図です。

まだまだ不安定なExtIO_RTL.dll ドライバーのようで立ち上げ時に動作不安定になることもしばしば起こるようです。

これからの開発に期待しています。










また、先にインストールしていたDS-DT305との共存が可能なようで、ドングルの変更でも両方認識出来ているようです。
さて、その性能やいかに???? です。

DS-DT305での144MHz受信状況 SDR#


国内販売のDS-DT305での2mバンドの受信の様子です。

見慣れたバンド状況です。










DVB-T+DAB+FM R820Tでの144MHz受信状況 SDR#


左図は、ほぼ同一時間にドングルを差し替え、DVB-T+DAB+FM R820Tにて受信した様子です。
受信した瞬間に、その違いが判りました。
感度が高い、ノイズが少ない、ダイナミックレンジが広い、などなど。
そしてなにより、聴きやすい感じを受けました。
左図を観てもらえば一目瞭然ですね。

そんな訳で、これからのFMリスニングにもDVB-T+DAB+FM R820Tがメインとなりました。



ちなみに、100MHz仕様のHFコンバーターでの性能も向上してしまいました。
嬉しいかぎりです。
これからもこの様な高性能なワンセグTVチュナーが進化して製品化してくるのでしょうが、楽しみの反面、ハンダ付けして受信機を自作する機会が益々激減してしまいそうで悩ましいところです。

喜劇と悲劇とを同時に味わっている感じです。


DVB-T+DAB+FM R820T 内部の様子

購入後まもなく本体ケースを開けてしまう習慣がまたしても。

       本体内部の様子

DVB-T+DAB+FM R820Tの方がプラケースが簡単に開けられました。
使用していたコンデンサーもチップではなく通常のモノを使用していました。
本体基板が大きい為、余裕のある配置に感じられますが高周波信号の引き回しには多少、首をひねってしまうところが多々ありました。

手加工による改造を前提に考えると、このぐらい大きい方が都合が良い感じです。
しかし、この大きさで高性能受信機と、IR赤外線コントロールまでもが構成されている事に関心させられます。
ワンチップ・マイコンの登場以来、多機能高性能小型化が驚くほど進んでしまいましたね。





      基板の大写しです。

たったこれだけの部品パーツで構成されています。
最安値を購入した為にXtalがヘボなモノが載っていたら?という一番の懸念がありました。
しかし、ケースを開けてみて一安心出来ました。

何といっても高性能広帯域受信機としての使い方では、そのXtalが要ですから。

でも、これだけの製品が1000円でお釣りがくるのですから驚きです。




   HF帯ダイレクト受信改造ポイント



簡単にHF帯受信を行う為には左図に示した、1Pと、2Pとにアンテナを接続します。
この改造だけでも十分HF帯の受信が出来てしまいます。







  動作時の本体基板の温度上昇の様子

DVB-T+DAB+FM R820T本体を長時間動作させて、基板上の温度上昇をサーモグラフィで観測してみました。

なんと、DS305ではチュナー・チップICの方が温度が低かったのですが、このDVB-T+DAB+FM R820TではR820Tチュナー・チップICの方がより温度上昇が激しかったのです。

これは意外な現象でした。
サーモグラフィで観測しなかったら判りませんでしたね。




     本体基板上の温度分布図
そこでどれほどの温度分布があるのかを専用ソフトを用いて測定したのが左図に示す温度分布図です。
左図の温度分布測定の時の部屋温度はわず5℃と、とても寒い外気温という事を考え合わせると夏になれば熱暴走の懸念が浮かびます。
これを参考にどこにヒートシンク(放熱板)を取り付ければより効果的かが判ります。

意外なほどにR820Tチュナー・チップICが熱々に成ってしまっている事が判りました。
これほどに小型化されている受信機では発熱が性能に直結しますので放熱をした方が安定動作には必須ですね。




色々な実験を通して最終的に決定したUSBワンセグチュナーHFコンバーター回路を、

最終版 R820 ワンセグチュナー SDR HFコンバーターの製作

に回路図とともに解説しましたので参照下さい。

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