手持ちのジャンク・パーツを少しずつ改造しながら実用性活用に向け思考してきました。
何といっても一番のベースは、今や使えなくなってしまった、アナログ・TVの電子回路パーツです。
これまで単体でも有効活用出来る改造をしてきたジャンク・パーツを組み合わせて市場では殆ど見かけない超長波受信アップ・コンバーターを製作してみたくなりました。
今までは、必要になったらその都度、簡単に組み合わせて利用していましたが、今回は、より本格的に活用出来るような回路設計にしてみました。
本格的 高性能受信機などが手元に有る方は、一台製作しておくと何かと便利だと思いますょ。
高性能受信機と言えども、VLF帯域受信には適したものが殆ど無い状態です。
MW帯辺りからRF ATTが働き、VLF帯にいたっては、受信も出来ます、、程度です。
そこで、このMW帯以下の帯域専用VLF U p Converter としてみました。
たぶん、超長波などという、かなりディープな受信など殆どいらっしゃらないと思います。
この帯域での受信には、知識・技術・忍耐・我慢、そして、修行が必須です。
非常に面白くない受信なのですが、何故か? ハマッてしまっています。
超長波帯域観測では、地球本体はもとより、遥か遠くの大宇宙からのエネルギーなどが観測出来ます。
また、常時ではない発信局が殆どで、それを受信出来たときの感動は想像以上です。
望みは、地場変動エネルギーや、ホイッスラーを綺麗に聞く事がメインです。
これらの殆どが、数Hz~20KHzという超長波エネルギー磁場なんです。
それを受信してみよう!!! という無謀なVLFコンバーターです。
受信信号として確認出来るかな~~~っ???
VLF Up Converter and VLF Amp回路図
さっそくですが、左図がVLF Up Converter の回路図です。
(訂正前の回路図を正しました。)
超長波というよりも、音声帯域以下までの信号を取り扱うため、ちょっとだけ工夫しました。
VLF Amp部の帯域は、3Hz~という、もはや、オーディオ・アンプです。
RF入力としてのアンテナには、電磁波測定に良好な、ループアンテナなどが適しています。
数Hzなどという電磁波を拾うためには、家の外形全体にLANケーブルをループ状にした電磁波アンテナを使うとかろうじて入力信号の変化を確認できると思います。
自然界に対する、ピックアップ・コイルのようなモノですね。
その場合の測定には、受信機としてPCを使い、ソフト受信を行います。
0.3Hzでも波形として確認出来ます。
ただ、私の住む、田舎と違って、都会では外来電磁ノイズで、微弱電磁エネルギーすら確認困難になるかと思われます。
また、通常の高性能受信機に接続する為のVLF Upコンバーター回路も少々懲りました。
先日改造した、10MHz CXO基準発信器を使いVLFコンバーター用の局発としました。
そして、通常はCXO OSC出力を直接DBMに入力してしまいますが、今回は、本格的に拘り局発信号の要らぬスペクトル信号を軽減した回路構成とし、ついでにDBM局発としてのレベルに適した信号強度へと軽く増幅しています。
使用パーツの殆どがアナログTVからのリビルトですので、パーツの値は適当になりました。
適材適所を守れば、この数値に拘る必要などありません。
適当で十分です。
DBMなども手持ちの製品を使えば簡単に済むところですが、ここはVLF帯域に拘り、面倒でも自作してみました。
FB801でも、一般的な#43ではなく、#73というモノを使用しています。
VLF Up Converter and VLF Amp完成基板
たった一つの製作物なので、毎度毎度の実体配線、ただ単にパーツを載せて、ハンダ付けしたモノです。
何時もながら、ハンダ付けする前には
使用するパーツを基板上に並べて全体の回路構成などを見渡します。
注意するべき点は、信号の流れです。
そしてまた、それら信号の混迷が起こらないようなレイアウトとしなければなりません。
今回もまた、左周りの信号ラインとなりました・・・。
やはり、利き腕が原因か???
自身のクセですね。
600KHz LPF の裸特性
カットオフ 600KHzで設計しましたが、少々伸びてしまいました。
本格的なLPFや、HPFなどを製作する時に注意すべき点は、面倒でもコイルを自作する事につきます。
いわゆる、チョーク・コイルなどのようなコイル成分値だけのモノでは、思った特性は設計上だけで、実際の実働特性には差異が生じてきてしまいます。
出来れば、空芯コイルで製作出来れば理想ですね。
それに、シールドも。
600KHz LPF VLF Amp の動特性
左図は、VLF Ampを動作させてLPFとともに動特性を観測してみたところです。
ゲイン過多のように見えますが、これでも実際の受信では足りないぐらいなのです。
足りない分は、基板上で実現するのではなく、外部アンテナ側の方にてVLF帯 増幅をさせた方がより安定的に動作出来ますので、後々ゲインが足りないと感じたときにはジャンク・パーツなどで自作しようと思っています。
手持ちのスペアナ&TGでは、数Hzなどという周波数観測は不可能なので、数Hz~などの測定は、AF OSCを用いて測定しました。
その結果、左図の特性の下限の伸びが素直に下に伸びた特性でしたので安心しました。
既にオーディオ帯域ですね。
耳を近づけてみると、FETかTrあたりから音が微かに聞こえてきました。
10MHz HPF の裸特性
受信機に接続する為のDBM出力側のHPF特性です。
これは、設計どおりの実特性を示してくれました。
大変素直な特性です。
10MHz CXO 基準信号発信器 出力波形
10MHz CXO OSC の裸出力のスペクトル波形を観測してみました。
そのままでは、これだけの信号出力が入り乱れてしまっています。
本格的コンバーターを意識している為、これら不要な信号を軽減させなければなりませんね。
裸のままの出力でなら、コム・ジェネレーター信号源として利用できてしまえる程です。
10MHz CXO OSC出力を同調コイルで出力
左図は、10MHz CXO基準信号を単に10MHzに同調したコイルで出力したものです。
第2次高調波などもかなり減衰しています。
ただ、このままではDBMの局発としては少々パワー不足ぎみです。
DBMに接続しただけで、かなり出力低下がみられました。
10MHz CXO to 10MHz Amp 出力
左図では、実際にDBMに接続した時点での100MHzスパン幅出力です。
(間違った写真を訂正しました。)
この信号レベルであれば、余裕をもって使用する事ができますね。
この10MHz CXO OSC Amp回路も、何時もながらの軽い動作で安定に留意した設計としました。
安定に動作させる事で、長期にわたり安心して使用する事が出来ます。
10MHz CXO Amp Out Span 200MHz
10MHz CXO Amp 出力を200MHzスパンにてスペクトルを観測したものです。
10MHz Amp出力にある同調コイルが単連なのでなだらかな高調波減衰特性です。
二つほど同調コイルを用いれば、かなり理想的になるかと思います。
今回は、基板の大きさの制約上、付加しませんでした。
ストレートなDBM出力信号でも十分性能的には問題はありませんが、時間を置いて考えてみては、面倒でもBPF特性を持ったフィルターにすべきだ!!! っと言う天の声が聞こえてきました。
そこで、少々改良を施してみました。
VLF Converter and VLF Amp 改良型
左図がDBM出力回路に改良を施した回路図です。
簡単な改良ですが、気分的にも良好な特性を持たせています。
HPFでも良いのですが、やはりBPFとした方が何かと気分的に落ち着きますね。
DBM 出力BPF 特性
VLF Converter としての帯域が600KHzと狭帯域ですので、山型のカーブをさせてみました。
このBPFを入れることによって自作品への気分的信頼性も向上しました。
単なる精神的改良なのですが、少しは後々思い返したとしても、懸念材料が少なくなります。
使用する通過帯域のみを選択している、という安心感ですね。
HPFと比べてもさほどな違いはありません。
ただし、前段までの特性がしっかりしていなければならないのは、言うまでもありませんが・・・・。
DBM 出力BPF 平坦
左図は、いわゆる、基本的なBPF特性を出してみたところです。
何か、教科書的ではありますね~っ。
でも、このような平坦性を持たせるためには、少々、帯域が広がってしまいます。
その為、今回は割愛・・・。
BPF回路も複雑になりますので・・・。
基板が完成したとしても、裸状態では利用しづらいので、便利な小道具として活用出来るような工夫をしてみました。
多連 Antenna SW and 複数 RX 切替器 の中に組み込んで、いつでも簡単にコンバート出来るようにしてみました。
VLFコンバーター内蔵 複数アンテナ・受信機 切替器
回路図では簡単なように見えますが、加工が厄介でした。
単純なモノほど加工に精力が奪われるものです。
VLFコンバーター内蔵 複数アンテナ・受信機 切替器外形
完成したVLFコンバーター内蔵 複数アンテナ・受信機 切替器の全体像です。
若いときのようなレタリングで綺麗にお化粧を施すなど考えも及びませんでした・・・・。
もう、年です・・・・。
VLFと書くつもりが、何を思ったのか、VLH、、、、。
でも、動作的には問題ありませんので気にしない、気にしない、、っと。
しっかし、綺麗とは言いがたい・・・・。
使い回したアルミ・ケースの汚れが目立ちますね。
VLFコンバーター内蔵 複数アンテナ・受信機 切替器内部
回路図では簡単に思えますが、実際には、左図のように配線が多く、非常に面倒でした。
気分的労力配分は、電子回路1に対して、加工組み立て10ほどに感じます。
紙に電子回路など、設計図を書いていた方が、楽チンです。
Normal PERSEUS 40KHz
先ずは、ノーマル状態での40KHz JJY 受信です。
いつも見慣れた画面です。
VLF Converter to PERSEUS 40KHz
VLF ConverterをONにして、PERSEUSの周波数を+10MHzした、 40KHz JJY 受信信号の様子です。
信号強度などの違いがさほど判りづらいかも知れませんが、それは、VLFコンバーターの高性能ぶり?? が現れているためです。
不要な信号を発生させていない為にVLFコンバーターをONにしてもざわつき感をまったく感じられません。
しかし、受信音の所を比較してみると、その差、歴然としています。
Normal PERSEUS 40KHz HDSDR
PERSEUS専用ソフトが優秀な為?VLFコンバーターとの比較の差が判りづらかった為に、受信ソフトをHDSDRに切り替えてみました。
使用受信機は、PERSEUSです。
住んでいる田舎でも少しずつ外来ノイズが以前にもまして増えてきているのが判ります。
参った、参った・・・・。
VLF Converter to PERSEUS 40KHz HDSDR
ノーマルな受信状態から比較して見て、違いが判るでしょうか?
信号強度などではなく、全体的なざわつき感の変化です。
レベルこそ少々上がって見えていますが、それ以外の不要信号がまったくありません。
当初考えていたとおりのVLFコンバーターとして働いているようです。
今までどんなにガンバッても聞こえてこなかった、60KHz JJY 信号が受信できた事が一番の嬉しい出来事でした。
今までは、その都度、簡易的なコンバーターを使用してきましたが、やはり、しっかり製作しないと駄目ですね。
IC-R75 Normal 40KHz 受信
IC-R75のノーマル状態で40KHz JYY 信号を受信した状態です。
プリ・アンプを入れても蚊の鳴くような、か細い受信音でした。
このIC-R75の高周波設計には、VLF帯に於いてはミス設計と思われる箇所が沢山あり、もはや受信機では無く、減衰受信機ではあるまいか?と考えさせられる回路設計になっています。
その為か、VLF帯受信には向きません。
ただ受信も出来ます、程度です。
VLF Converter to IC-R75 40KHz 受信
VLF Converter をONにして同じ設定にて40KHz JJY 信号を受信してみました。
Sメーターが振り切れんばかりの勢いです。
受信音も澄み切っていて心地よいJJY受信音です。
VLF Converter to IC-R75 40KHz 受信 Non PreAmp
PreAmpを入れた状態ではSメーターが振り切れそうだったので、PreAmpを切ってみました。
それでも、左図のように強力な受信をしてくれました。
非常に澄み切った綺麗なJJY信号です。
VLF Converter to IC-R8500 40KHz 受信
IC-R8500 は、元々100KHz以下の周波数設定が出来ません。
このような制約のある受信機に対して、このVLFコンバーターは威力を発揮してくれます。
ノーマルでは受信出来ない周波数帯域でも受信出来るようになる便利さは大変重宝出来ると思います。
IC-R8500 でのJJY受信に於いても不要な信号の発生が皆無な為、澄み切った受信音として聞く事が出来ました。
ここまでは外部の受信機を用いたVLF帯域受信でしたが、今度は、受信機などを用いずにアンテナと、パソコンだけでVLF帯受信をしてみます。
パソコンにはソフト受信が出来る、Spectrum Lab という超多機能受信ソフトを用いました。
このソフトだけでパソコンのMIC In から入力された、アンテナ信号をスピーカーから受信音として受信出来てしまうという、とても多機能なソフトです。
ソフトの設定が、これまた厄介なほど面倒なので、設定などはソフト制作本家などを参照していただくこととしました。
本題は、VLF Amp での性能を確かめるためですので。
Spectrum Lab にて40KHz JJY 受信
PCと、このソフトのみでアンテナからの受信信号が受信出来てしまいます。
入力は、PCのマイク入力にアンテナをそのまま差し込んで受信しています。
スペクトル画面の左側は、40KHz JJY 受信信号のクローズ・アップです。
また、右側スペクトルには、0Hz~50KHzまでの受信帯域全体のスペクトルを表示しています。
マイク入力からでもこれだけの受信が出来てしまいます。
Spectrum Lab VLF Amp ON にて40KHz JJY 受信
左図がVLF Amp をONにしてみたところです。
十分なる動作をしてくれています。
特筆すべきは、右側スペクトルに示されているように3Hz~というVLF Ampブロックの性能が、見事に反映された結果がスペクトル上に示された事です。
商用交流電源の50Hzも確認できていました。
凄い超多機能受信ソフトを使いこなそうと考えた事が今回のVLF Amp製作へのきっかけになっています。
世の中、進んでいるんだな~っ、などと思わされました。
ちなみに、今回のVLF 受信に使用したアンテナは、自作した直径2.5mの大型磁界ループ・アンテナを用いて受信しました。
超低周波などでは電磁誘導波などで信号を拾えているようです。
このような超VLF帯域受信を行おうとした場合には、今回のVLF Ampだけのゲインではまったく足りません。
経験上ですが、+60dB~+80dBぐらいの増幅をさせないと地磁場信号を拾うことは難しいです。
一番簡単な方法は、OP AMPを用いてしまうことなのでしょうが、どうもRF信号経路に用いるのは抵抗があります。
いずれ、バランス型アンテナ・プリアンプでも自作しようかな、などと思っています。
TS-520 にて40KHz JJY 受信
発売当初から愛用している機器で、これまで色々な機種を聞き比べしてきましたが、このTS-520が一番合っているようです。
TS-940、TS-950共々、すばらしい受信が出来ましたが、イタズラ心をくすぐる事は出来ませんでした。
性能よりもTS-520は趣味として使える道具として長年愛用しています。
受信音なども個人的感想ですが、疲れない受信音を楽しめますのでHF帯受信にはもっぱらTS-520を今でも現役として使っています。
このTS-520には、JJY/WWV受信が出来るように切替スイッチが有りますが、受信周波数が5MHz帯なので、そのままではVLF帯域UPコンバーターを接続しても何も受信出来ません。
そこで、この5MHz JJY/WWVのクリスタル・コンバーター用のXTalを10MHz受信出来るように少しだけ改造してしまいました。
XTalのみ変更しただけでは駄目ですので、TS-520内部のコンバーター回路の同調回路なども改造しています。
TS-520のJJY/WWVスイッチを押すことで、5MHzではなく10MHzを受信出来るようになります。
それらの改造をした後、実際のVLF UP コンバーターを介して受信した40KHz JJY 信号が上図です。
やはり、単なる高級受信機よりも受信音に疲れ感がありません!!!
長時間、ピ~っ、ピ~っ、ピ~っ、、、と聞いていられます。
心地よい、JJY のBGMです。
近所から変なオジサン、、、などと思われていそうな予感がヒシヒシ・・・・。
スイッチ一つで今まで聞く事が出来なかった、VLF帯域の受信を簡単に実現出来てしまう便利な小道具として活躍してくれそうです。
機能・性能はともかく、見てくれをもう少し綺麗に出来るようにしないと駄目ですね~~~っ。
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