フェライト・バー・Loopアンテナの製作

今まで沢山の違ったアンテナを数多く試してきました。
その都度、変わったアンテナを見つけると、やはり、試したくなる性分は年をとっても変わらないようです。

現在、基準として使用しているアンテナは、磁界ループ・アンテナがメインですが、どうしても大きさがネックと感じていました。
高性能なモノにしようとすると、大型ループ・アンテナを連想しますが、我が家での最大ループ径は、2.5mが限界です。
その大きさ故の弊害も幾度と無く経験してまいりました。
強風などの自然現象には、めっぽう貧弱なばかりか、アンテナ以外の関係の無い建物への被害たるやそれは酷いものでした。

そこで、この便利な磁界アンテナをより小型に出来ないか、などと考えておりました。
巷で流行っていそうなアンテナを参考に考察を加えてみました。

磁界ループ・アンテナという種別DNAは譲れない項目です。
何故なら、外来ノイズに対しての防御率は、これを除いて語れないからです。
アンテナ感度というモノサシで比較するならば不利ですが、人工ノイズに対する防衛は他にありません。
また、非同調型という点も見逃す事の出来ない有利なところだと思います。

携帯小型ラジオに内臓されているバー・アンテナは、一種のループアンテナなので、この小型なバー・アンテナをより実用的に改造してどうなるのかを検証してみました。

先ずは、材料です。
毎度のジャンク・パーツからの調達、リビルドを行います。

使いそうも無いジャンク・パーツの数々、使うのは何時???

今でしょ!!!!


ジャンク・AM用バー・アンテナ

手持ちの中でも綺麗なバーアンテナを写真にしてみました。

これらほぼ使う事もないジャンク・パーツ品をリビルドしてしまいましょう!!!


バー・アンテナに元々付いていた部品を丁寧に外します。









バー・アンテナ付属のコイルたち

数種類のバーアンテナに付属していたコイルを断線させないよう、綺麗に外しておきます。

このコイル材を後々コイル線としてリビルド使用します。

今となっては入手も難しくなってしまった、リッツ線を贅沢にも使用していますので、そのまま捨てるには惜しい限りですね。

何かに活用してこそ、浮かばれるというものです。





バー・アンテナのフェライト棒を巨大化

リビルトされて得られたフェライト棒を瞬間接着剤にて仮止めし、全体の隙間にホット・ボンドを流し込んで固定化させています。

叩いてもビクともしません。

全長 24cmほどの大型フェライト・バーアンテナの元が2本ほど出来上がりました。
不ぞろいな所も有りますが、気にしない、気にしない・・・。



大型フェライト・ループ・アンテナの完成

フェライト棒の表面にはデコボコがありますのでキズ防止も兼ねてコピー用紙にてカバーをしておきます。
その上に磁界ループ・アンテナとする為に同軸ケーブルを巻きつけます。
手持ちの関係でRG188テフロン・ケーブルを使っていますが、だいぶ勿体無い使い方ですね。


巻き数は、大体、40回ほど巻いています。
また、アンテナ出力側に付加しているフェライト・コアによるバランは、#73よりも多い数値のフェライトを3段使用してみました。
VLF帯域を前提としているための処置です。
その為、HF帯域などでは減衰が激しいです。
磁界シールド・ループ・アンテナの場合、このフェライト・バランの仕方によっても性能が変化します。


フェライト・ループ・アンテナのみでの40KHz JJY受信

非同調なので楽チンです。
フェライト棒が電磁界を拾い集める役目を果たし、その為小型でも受信が可能になるわけです。







直径1m磁界ループ・アンテナでの40KHz JJY受信

フェライト・ループアンテナと比較してもさほどな違いはSメーターからは感じません・・・・。
しかし、受信していてその差は歴然としていました。
やはり、直径1mループ・アンテナの方が全体的なノイズ感が少ないのです。



という訳で、このノイズの違いを最小限にするべく、色々試してみました。
その中において、有望な方法が、コイルとコンデンサーとで同調回路を付加する事が一番効果が見込めました。


フェライト・ループ・アンテナ+同調コイル回路

ジャンク・バー・アンテナを分解して得られた、貴重なリッツ線を一つずつハンダ付けしてコイル材として使いました。
数種類のリッツ線が入り混じっていますので完成したコイル部分の色味に模様のような味わいが現れました。
適当に飽きるまで巻き、その時のコイル値は、約5mHでした。



フェライト・ループ・アンテナ+同調回路

適当なコイルでも、リッツ材使用の豪華なコイルです。
さぞかしQも高かろう?などとほくそえんでしまいます。

コイルの値が、5mHなので、40KHz JJY受信には、3100pFが必要になります。
フィルム・コンで約2700pFを、バリコンで1000pFを付加しました。
室内で40KHzに同調を取りましたが、中々優れた選択度だ、という感じです。
そしてまた、単にフェライト・ループ・アンテナの時よりも選択度が上がったせいか?感度も上がりました。

そのまま外へ設置しましたが、なんと!!何と!!!
外気温が低い為に同調点がかなりずれてしまいました。
調整は使用する所でやらないと無意味だという典型ですね~っ。
でも、気候に左右されてしまう回路という事は、安定した活用が難しいという事になってしまいます。

そのことはさておき、フェライト・ループ・アンテナ+同調回路というアンテナではどのような結果になるのかが気になるところですね。


フェライト・ループ・アンテナ+同調回路 for PERSEUS

受信機にはPERSEUSを使用しました。
状況の変化が読みやすいHDSDRソフトを使っての比較です。

単にフェライト・ループ・アンテナ+同調回路だけで受信した状態が左図です。


40KHz JJY 右わきに出ている外来ノイズが気になるところです。















直径1m磁界ループ・アンテナでの40KHz JJY受信

直径1m磁界ループ・アンテナのみの40KHz JJY受信が左図です。

写真での比較では判りづらいのですが、明らかにノイズが減って聞こえます。


同一条件、同一時間でないと比較出来ない事柄です。
















ディスコーン・アンテナでの40KHz JJY受信比較

図では判りづらいですね。
40KHz JJY信号は微小ながら受信はしていますが、明らかにノイジィーな受信音です。

いらぬ外来ノイズも時折混じってしまっていました。

この微妙な違いが磁界ループ・アンテナを受信の基本としている所以です。

しかし、時々ですが、稀にディスコーン・アンテナに切り替えた方が良い場合もあるのでそこが面白いところです。










フェライト・ループ・アンテナ+同調回路+VLFコンバーター

同一時間帯にて観測していますが、VLFコンバーターを通して受信してみると人工外来ノイズの量が激減している事が判りました。

ガルバニック現象の軽減に役立っているのかしらん・・・・???

アイソレート回路でもこのように綺麗には取り除けません。

VLFコンバーターの高性能を褒めてやりたい気分です。














直径1m磁界ループ・アンテナ+VLFコンバーター

我が家の基本アンテナですので聴き慣れた感はありますが、直接受信よりも、VLFコンバーター経由の方がよりクリアーな受信が出来た事が嬉しく思うところです。

ざわつき感がまったくありません。

外来ノイズの排除も見事の一言です。


















ディスコーン・アンテナ+VLFコンバーター

電磁界ループ・アンテナでの、その外来ノイズ排除比較というモノを見かけたことがありませんでしたので、その効果のほどを左図に示しました。

何でもかんでも拾ってしまう、ディスコーン・アンテナですが、外来ノイズもそのまま受信されてしまっています。

聞いていてもノイジーな感じを受けます。

VLFコンバーターでも素通り状態でした。










今回、磁界ループ・アンテナの小型化を狙って試作してみた、フェライト・バー・ループ・アンテナですが、使用目的がしっかりしていれば使えるモノではなかろうか?という感想です。

オール・マイティーなアンテナは、やはり、大型磁界ループ・アンテナに落ち着きそうです。
同調型も試作してみては壊し、また組み立ててみては失望・・・・。
いつも気軽に活用するには面倒な作業を強いられる事が厄介になり、やはり、非同調型が一番自分に合っている、という感想を再確認した次第です。

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