電子回路を動かす為に必須な電源、それもアルカリ電池に始まり、今やリチューム電池まで時代の流れに任せた幅広い種類の電池がゴロゴロしています。
経年変化もさることながら、経験上、中華製の電池は、新品でも注意が必要なほど品質的に問題をかかえていますので、それらを電子回路を壊される前にある程度チェック出来れば、それに越した事はありません。
劣化した電池ではほぼ決まって内部抵抗値が高く、充電しても抵抗値の変化があまりありません。
その数値を元に手元の電池が安全かどうかの判断が出来ます。
と、言うわけで、簡易型の充電電池内部抵抗値を測定する為のアダプターを製作してみました。
幸い、手元に4端子測定が出来る、LCRメーター DE-5000 がありますので、これを利用しました。
4端子測定法 原理
通常の抵抗値を測定する場合には測定環境での影響はさほど受けませんが、微小抵抗値の測定となると、話は別です。
そこで考えられたのが4端子測定法です。
測定する入力インピーダンスが十分高ければ測定間リード抵抗値をほぼ無視できるという原理からなります。
DUTである、微小抵抗体のみの抵抗値として測定できる優れた測定法ですね。
DE-5000 接続端子の様子
左図に示したのは、LCR メーター DE-5000 の測定端子の様子です。
普通のテスターと違って、接続端子内部には、2枚の電極が有り、デフォルトでは、密着した状態で接していますが、ここに4端子測定法を行うようなアダプターを差し込むと、電極が離れ、各電極が別々の動作となります。
DE-5000 on チッププローブ TL-22
チップ部品の4端子ケルビン接続計測用途には最適な組み合わせです。
単品抵抗値測定よりも、4端子測定法の用途には、こちらの方が利用価値があると思います。
DE-5000に差し込むプラケースには共通のTL-21という刻印があるアダプター・ケースが使用されています。
DE-5000用の純正テストリード TL-21
DE-5000 と同時購入した、TL-21の内部接続の様子です。
オーディオ・ケーブルのような2線シールド・ケーブルを利用していました。
このタイプでの測定は、殆ど活用する事もなく、眠っていましたので、これを美味く料理することにしました。
TL-22があれば測定しようとする測定は可能なので。
4端子ケルビン接続 電池内部抵抗測定器 回路図
電池などのような内部起電力があるDUTを測定する場合には、何らかの方法でDCカットをしなければなりません。
信号源とともに、測定入力側にもコンデンサーにてDCカットをします。
注意するところは、コンデンサーの種類でだいぶ測定値の変化が出てしまうというところです。
今回は簡易型でも十分実用になっていますので、気にしないことにしました。
毎度の事ですが・・・・・。
望むらくは、フィルム・コンデンサーを使い、容量は、2μF以上を用いる事で、DUT側での影響も減り、より安定した測定が可能となりますょ。
電解コンデンサーを使うなら、容量を大きくしないと負荷による影響が出てくるようです。
ただし、物理的に大きくなるので、カッコ良くまとめるには難が出てきます。
測定入力に付いている、1.5MΩは、測定端子の電荷放出用ですので、測定誤差にならない程度の抵抗値ならなんでも使えます。
4端子ケルビン接続 電池内部抵抗測定器の様子
組み上げた様子が左図です。
程よくTL-21のケースへと組み入れる事が出来ました。
2芯シールド・ケーブルが無かったために3芯シールドを利用しています。
4端子ケルビン接続 電池内部抵抗測定器 全体
元々使っていた、ミノムシ・クリップは再利用しました。
体裁も良いのではないでしょうか?
組み上げてみて思ったのは、測定ケーブルをもう少し長めにしておけば良かった、という事です。
短いと使いづらいですね。
4端子ケルビン接続 電池内部抵抗測定器 完成
DE-5000シリーズでは、全て同じ TL-21 というケースが使われている為に自作改造した場合、何がなんだか判らなくなってしまう恐れもありますので、手書きラベルを貼っておきました。
う~む、、、字が汚い・・・。
まるで子供の手習いのよう・・・
4端子ケルビン接続 電池内部抵抗測定器の端子間信号
4端子ケルビン接続 電池内部抵抗測定器の端子間信号を見てみました。
大変綺麗な信号をしていました。
FFTでも見ましたが歪の少ない優れた信号源だと思いました。
100Hz~100KHz まで安定な信号を出力しているようです。
簡易 電池内部抵抗測定器のショートチェック ゼロΩ
キャリブレーションではないですが、とりあえず、どの程度の範囲なのかを確かめました。
先ずは、測定端子をショートさせた、ゼロΩ チェックからです。
見事にゼロΩ??
表示には1mΩがでていますが、デジタルの誤差表示としましょう!!!
まずまずではないでしょうか?
抵抗器 3Ω 測定の様子
3Ωの抵抗器を測定してみました。
測定結果は、3.03Ωでした。
抵抗器は、完全固定の抵抗体なので安定した測定が可能ですが、電池などのような内部起電力などを持ったモノの測定には常に変化する化学変化も念頭においておきます。
まっ、抵抗器でなら合格といったところですね。
古くなったニッカド電池
古くなってしまったニッカド電池の測定では、内部抵抗値 3Ωと、かなりの高抵抗値を示しました。
数値が示すように、この古いニッカド電池、充電したては良いのですが、持久力が無くなってしまった、おじいさん電池なのです。
それを見事に数値化して表してくれました。
これで、だいたいの様子は使う前に把握出来るというものですね。
古いニッカド・・・・でも。
古いニッカド電池が山のようにあるのですが、このニッカド電池、測定してみたところ、なんと何と!!!
0.1Ωという使えるニッカド電池ということが判明!!!
嬉しいですね~ぇ。
使えないと思っていた電池が使えると判ると。
自作 実験用可変安定化電源の測定
こんな事に使うことはまず無いと思いますが、好奇心からいつも利用している電源の抵抗値を計測してみました。
安定化電源の内部抵抗値測定には、また、別の方法を用いるのですが、簡易型ということで測定してみました。
すると、、、0.276Ω !!!!
良いではありませんか!!!
このアダプターを用いる事で、安定化電源の更なる設計変更をも実証させながら行うことができますね~っ。
今度からはそうしようと考えています。
手持ちの LCRメーター DE-5000 を活用したアダプターですが、まだまだ活用し切れていないのが現状です。
暇を見てまた新たなアダプターなどを自作してみようかな? などと思っております。
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