ワンセグTVチュナー HF 受信アダプターの実験

多少の違いはあるものの、どのUSBチュナーを選んでも性能的な差は少ない、という事が判りました。
しかし、RTL SDR HF帯受信コンバーターを念頭にするのであれば、DVB-T+DAB+FMが今のところオモシロイ改造が可能だという事が色々実験して判りました。
まずは、USBチュナーに搭載されているXtal発振周波数の微調整を行います。
これは、コンバーター式にする事で周波数のズレの量が増大してしまう懸念があったからです。


USBチュナー・R820T Xtal発振周波数微調整法

USBチュナー・R820Tチュナー・チップ局発端子

R820Tチップの8P・9PがXtal発振ピンです。
その隣にある、10Pには、Xtal発振バッファー出力があります。
Xtal発振周波数の微調整を正確かつ厳密に行うのであれば左図に示す円の部分のコンデンサーを取り去り、その変わりに調整用トリマー・コンデンサーを取り付けます。












USBチュナーと周波数調整用コンデンサー

USBチュナーの裏を見れば判りますが、Xtalのハンダ付けされた箇所が見えます。
この箇所へトリマー・コンデンサをハンダ付けして28.8MHzに限りなく近づけます。
28.8MHzの信号を受信出来るRXなどで受信しながらでも調整可能です。
ここでは、20pFのトリマーを付けました。







トリマー・コンデンサーを裏側Xtal端子へ付ける


左図の様にトリマー・コンデンサーを基板裏側にあるXtal端子へハンダ付けします。
トリマーを取り付け後は、ケースには入らなくなります。
ケースに穴を開ければケースに入れることも可能です。




発振周波数の合わせだけでは物足りないとお考えであれば、やはり、28.8MHz XTalへの何らかの考察が必要になってきます。
そこで、簡単に改造できるCXO発信器へと改造する解説を下記に示します。

R820T 28.8MHz 安定化 CXO 発信器改造

何かの参考になれば幸いです。


R820T チュナー・チップ ピン配列

USBチュナー・R820Tチップピン配列



数あるUSBチュナーの中でもこのR820Tとい
うチュナーはオモシロイ構成をしています。

このピン配置やブロック図などを参照しながら暇な時間つぶしをしていました。
ムニョムニョっと思いついたのが超小型HFコンバーターが可能な構成だ、ということに気付いたことです。









USBチュナー・R820T ブロックダイヤグラム


左図がR820Tの内部ブロック図です。
これを見れば判るように、Xtal発振回路の様子や、その信号のバッファー・アンプ出力がある事に気付きます。
また、I/Q信号出力も特徴があり、複数出力ではなく、単出力となっています。

これで決まりました。
超小型HFコンバーターには、このR820Tが最適であるということが理解出来るでしょう。





USBチュナー・RTL2832 ブロックダイヤグラム

左図がRTL2832の内部ブロック図。
これだけで既にSDRラジオを形成シテイルコトガ判ります。
一般的なSDRラジオとの違いは、選局する為の局発信号の生成方式です。
基本信号の28.8MHzをサンプリング信号として用い、また、その内部PLL回路によって選局信号として働かせているようです。
重要なことは、この基本信号である、28.8MHzだという事です。 これが純度の良いモノであればザワツキ感の少ない受信機となりえます。



R820T使用 デュープレックスHF帯ダイレクト受信ブロック図



左図が超小型を可能にするHFコンバーターのブロック図です。
電子回路図も不必要なほど超簡単回路です。
ANT入力側には、HPF、LPFによってアンテナ入力信号の分岐が行えるようにします。
アンテナ入力部にデュープレックサー回路を設けることによってアンテナ切り替えを不要にしています。
そのままでHF~UHF帯までの受信が可能です。
そしてまた、このR820Tの特徴でもある単出力の特徴を活かし、ダイレクト・コンバーター用トロイダル・コイルの二次側結線をI branchではなく、Q branch用入力端子へ接続します。
そうする事でHFコンバーターを接続しながら今までどおりのUSBチュナー受信機として動作可能となります。




RTL2832U ダイレクト受信用接続図

RTL2832U チップ近辺のアップ

USBチュナーからのI/Q信号が入力されるところのクローズ・アップ写真を左図に示します。
R820Tチップの特徴である、単I/Q信号だけで入力されており、RTL2832UQ brabch端子には何も入力されていません。
I branch入力だけで復調を行っています。
そこで、この何も接続されていない、Q branch端子にHFコンバーター用トロイダル・トランスの信号を入力すれば、通常受信は、I branchで行わせ、HFコンバーター時の受信は、Q branchで行うようにすれば何も切り替えずに両方受信が可能となります。


ただし、Q branchへのハンダ付けは非常に難しいです。



RTL2832U I/Q input 及び、アースが抜けていましたので再掲載しました。
この入力部のインピーダンスはかなり高いのでノイズや、外来雑音が入らないように工夫する必要があります。

Pin 接続 No.

1pin     I+
2pin     I-
3pin     GND
4pin     Q+    NC
5pin     Q-    NC


USBチュナーへダイレクト受信用トランスを

このような動作の場合、トランスの種類によってだいぶ性能が違ってきます。
通常は、#43を使用していましたが、この度、FB801-#73という高誘磁率のコアが入手出来たので、これを使用してコイルを製作しています。
アンテナ入力の切り替えは必要ありません。





RTL2832U ダイレクト・受信の様子

初め、RTLのゲインが多すぎため、スペクトルがいたる所に有りましたが、受信音声が一番綺麗になるようにゲインを調整した為、左図には不要なスペクトルが減って見えます。
#73のコア、恐るべし。でした。

この様にすれば、ほぼ原型の大きさでHF帯からUHF帯まで受信可能となってしまいます。

恐るべしUSBチューナーですね。






USBチュナー・HFコンバーターでの受信

ここまでダイレクト受信の可能性を実験してきました。
そこで、それに対比されるHFコンバーター式の状態とを比較してみました。
どちらもRFアンプ無しの状態であり、アンテナ入力信号だけのモノです。
個人的感想を言えば、やはり、HFコンバーター式に軍配を挙げます。

その理由は、R820Tチュナーを通る為、高感度であり、周波数オフセット設定を除き、通常の受信設定を変更する必要も無い為です。
そして、何よりどのSDRソフトでも受信可能という所が最大の長所だと思います。

正直、ダイレクト受信では、各種設定を細かく設定しなおさなければ満足いく受信とならない所にやる気を削がれてしまいました。

ワンセグTVチュナー HF 受信アダプターの各種方法などを解説しておきました。

ワンセグTVチュナーHF受信アダプターのまとめ  を参照してください。


また、色々な実験を通して最終的に決定したUSBワンセグチュナーHFコンバーター回路を、

最終版 R820 ワンセグチュナー SDR HFコンバーターの製作

に回路図とともに解説しましたので参照下さい。

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